アジア間の成熟した相互理解に向けて、小さいけれど大きな一歩

kenchu最近の書店では、中国や韓国を敵視した書籍が大繁盛です。

「売れるのでやめられない。政治家スキャンダルなどと違い、国外のニュースを紹介するだけなので訴訟リスクが極めて低いことも記事を増やす要因だ」。30代の週刊誌記者は明かす。(2014年2月11日 朝日新聞)

アジアとの仕事をしている私にとっては看過できないトレンドですが、それでも全否定はしていません
悪いなりに中国・韓国に「注目」しているわけですから。少なくとも「無視」しているわけではない。これらは相互理解の途上にある出来事と考えることもできるからです

私が大学(東洋史専攻)に入学した1994年。そして中国に留学した2000年当時、ほとんどの日本人にとって中国や韓国を含むアジアは空気のような存在、どうでもいい存在でした。好きでも嫌いでもなく、情報がゼロに等しいので嫌いになりようがなかったのです。かろうじて持っている知識を総動員しても「中国=人民服」、「韓国=キムチ」、その程度のイメージだったのではないでしょうか。

その頃の状況を知っている人間からすると、今は隔世の感があるほど、日本でもアジアの情報は増えています。もちろん悪い情報の方が多いですけどね。
でも、これってやはり相互理解をしていく上で避けて通れない道だと思うのです。
道筋をチャート化すると以下。

 1 アジアへの無関心
 2 アジア情報の増加
 3 好意的な人が3割、嫌いな人が7割 ←←←今この当たり
       ↓
 4 アジア人と実際に交流する機会が増える
 5 その上で良い印象を持つ or 悪い印象を持つ = 相互理解の成熟段階

私たちのようにアジアと仕事をしている人を除けば、ほとんどの人は中国人や韓国人と実際に交流した経験はないと思います。本来、この状態で「嫌い」と言うのはナンセンスですよね。
“食わず嫌い”と同じわけですから。

できれば今後は、一般の日本人でも海外の人との関わりを持ち、交流を深めてほしいと思っています。その上で「好き」や「嫌い」を話題にする社会になってほしいです。
でなければ、テレビや週刊誌の意見に左右されてしまうわけです。それって、とても怖いことですよね。

実際に交流してきた人の話は“血が通っている”

gold-chinese最近、『中国人とのビジネスが必ず上手くいく! 中国語 魔法の黄金フレーズ』という本が出版されました。この本の出版プロデューサーと、ある勉強会で知り合うことができたのが本書を知ったキッカケです。

著書の常泉精吾(つねいずみ せいご)さんは、中国留学後に中国進出している日系企業で働きます。そして、多くの中国人スタッフを管理する立場になります。

しかしながら、苦労の連続。中国人スタッフには、日本の会社のルールが通じません。こうした苦労話は枚挙に暇がなく、常泉さんも他の管理者同様に悩み、自律神経失調症まで患ってしまいます。

それでも常泉さんは、あるセミナーで大きなヒントを得ます。そして、
「大事なことは言葉だ! 的確なタイミングで、的確な言葉を言えばいいんだ」と考えます。その考えは的中。それから中国人スタッフたちはイキイキとした顔で働き、業績は右肩上がりで伸びていきました。
このノウハウを他の企業の人にも伝えたところ、同様に業績は伸びました。
まさに「中国語 魔法の黄金フレーズ」です。

 你的工作表现很好嘛!(素晴らしい仕事ぶりだね!)
 我相信你会成功的。(君は絶対うまくいくよ)
 你的笑容很有魅力。(君の笑顔は素敵だね)

以上のようなフレーズが本書にはたくさん詰まっています。たしかに、こんな言葉をかけられたら、人種を問わず誰でも嬉しいですよね。考えてみれば、こうした当たり前の本が無かったこと自体おかしな話です。
アジアを敵視した本だけでなく、こうした本が増えていくことが、成熟した相互理解につながる第一歩ではないかと思います。

本書の中国語はとても平易で、勉強をはじめたばかりの人でも理解できます。それでいて、中国人に与える影響は計り知れないでしょう。とてもオススメです。

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中国人とのビジネスが必ず上手くいく!中国語、魔法の黄金フレーズ

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シャオミ、ただいま爆進中!!

Xiaomi_M1現在、中国で凄まじい勢いで伸びているスマホメーカーがあります。それがシャオミ(小米科技)です。日本での知名度はまだ低いですが、マンガのようなレベルで爆進中で、近いうちに世界を席巻するんじゃないでしょうかね~。

スマートフォンは中国語で「智能手机」(ジーノン・ショウチー)と呼びます。“多機能携帯電話”という意味です。2013年の中国スマートフォン出荷台数を見ると、第1位はサムスンでシェア19%。第2位は中国最大のPCメーカーであるレノボ(聯想集団)で11.8%。第3位はクールパッド(酷派)、第4位はファーウェイ・テクノロジー(華為技術)、第5位はZTE(中興通訊)。第6位にiPhoneのアップルが来ます。iPhone 5sの販売価格は5288元(約8万7000円)と中国ではかなり高価です。

そして第7位に位置するのがシャオミ(小米科技)です。この会社、創業したのが2010年ですよ! 創業3年で中国アップルに迫って、さらには抜こうとしているんですよ!!

なぜ、こんなに急成長しているかというと、スマホの価格がとにかく安いんです。最近699元(約1万1500円)のモデルを販売し、凄まじい勢いで売れています。なにせiPhoneの1/8の価格。店頭ではまず買えない状況になっており、予約も驚異的な数になっています。
今は技術革新が進み、ベンチャーでもスマホのような高性能製品を作ることができてしまう時代なんですよね。「高性能」が日本のお家芸であった時代が、過去のものになりつつあるのが実感できます。

xiaomi02加えてシャオミの強さを物語るのが、“劇場型”と言われるマーケティング戦略。写真左は創業者でCEOの雷軍。そして並んでいるのは香港スターのアンディ・ラウ(劉徳華)。こんなスターを呼んでファン感謝イベントを開催したり、微博などのSNSを使って情報を拡散したりとあらゆることを行っているのです。今やシャオミは「中国のApple」、雷軍は「中国のジョブズ」と呼ばれ、大きな注目を集めています。

実は多くの中国大手企業が日本に進出している

日本で流れる中国のニュースは、バッドなもの(尖閣問題、PM2.5、テロ、政府幹部の汚職など)がほとんどです。それ以外のニュースがほぼ皆無なので、一般の人はほとんど気付いていないと思いますが、実は多くの中国大手企業が日本に進出しています

パソコンメーカーのレノボ(聯想集団)、家電メーカーのハイアール(海爾集団)。スマホメーカーのファーウェイ(華為技術)、ZTE(中興通訊)。検索サイトの百度。システムインテグレータの方正。Ofiiceとの互換性で急伸しているキングソフト(金山軟件)。ちなみに、シャオミの雷軍CEOはキングソフトの出身です。

買収によって中国企業の傘下になった日本企業も増えてきました。代表的なのはラオックス、レナウン。台湾にまで範囲を広げれば、東京スター銀行もそうです。

日本に留学してきた中国人が起業して、一部上場にまで成長した企業まであります。ソフトブレーン、イーピーエスです。

ほとんどの日本人にとって「中国=粗悪品」というイメージでしょうが、このような側面も知っておいて損はないと思います

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それを「成長」って言うんだね。その積み重ねが「財産」なんだね

oh05-112私が関わってきた、そして今も関わっている出版業界は、一言でいえば“生き地獄”のような世界です。
大手は1割、残りの9割は中小・零細企業。そこでは低賃金、長時間労働が日夜繰り広げられています。加えて、「なぜ、そんなブラックを通り超えて、クレイジーな仕事をしているの?」という周囲からの冷たい目。働いている人も、頭のネジが2、3本ぶっ飛んでないと、とても続けられません

にも関わらず、「クリエイティブな仕事」という魔力を持った言葉に惹きつけられ、この世界のドアを叩く若者は少なくありません。そして、そのほとんどが、現実に打ちのめされて去っていくのです。

現在、私が関わっている出版社でも、そんな若い女性がいます。年齢は20代後半、入社3年目。仕事をこなすスキルがまだまだで、上司や取材先からどやされまくっています。女性には酷な状況ですが、かなりの天然キャラで不思議ちゃんなので、何とかなっています。しかし、言われたことに対するリアクションがとても曖昧なので、自分からトラブルを作っています。その姿が、若い頃の自分にそっくりで泣けてきます。自分の上司や先輩たちも、相当イライラしていただろうなと思ってしまいました。

そんな彼女が、最近、目に見えて成長してきているのを感じました。キッカケはとある出来事です。あるとき彼女は、観光地やオシャレなカフェを紹介する記事を作るため、女性モデルとカメラマンを連れて取材していました。2件の観光地を取材した後、最後の取材先であるカフェに行ってビックリ。なんと、お休みでした。そうです。飲食店を取材するときにありがちな出来事です。彼らはいつも忙しいため、アポの時間を間違えてしまうことがよくあるのです。だから、私たちは念入りに取材日を知らせるメールやFAXを送っておくものですが、彼女はそういった詰めが甘く、この状況を招いてしまったのです。

「どうしよう」。彼女は頭の中が真っ白になってパニックになってしまっていました。この特集の締切は明後日。モデルとカメラマンを手配して、改めて取材し直すことは絶対にできません。今日取材を終えてなければアウトです。そのどうしようもない状況が、逆に彼女を奮い立たせました。近くには以前に取材したカフェがありました。アポはないが、何とか取材を頼もうと考えたのです。しかし、カフェの店主は「急にそんなことを言われてもねぇ」と面倒くさそう。それでも、必死でお願いする彼女。その真剣さに店主も動かされ、取材がOKになりました。

彼女はこの窮地を乗り越えました。そして、「ピンチのときにも頑張れば、なんとかなることを覚えました」と言っていました。私の心も揺さぶられました。自分も、明らかに実力以上の仕事や窮地が何度も立ちはだかり、その度にボロボロになりながらも仕事を覚えてきました。

それを「成長」って言うんだね。その積み重ねが「財産」なんだね。
だから、そのまま自分を信じて続けていれば、いつかものになるよ。

と声をかけてあげたいと思いました。でも、結局は伝えないことにしました。
なぜなら、この女性は結婚して出版社を退職することが決まっているからです。そして、「この業界には二度と関わりたくない」と言っていたからです。せっかく成長してきているのに、もったいないと思いましたが、この業界は“生き地獄”。普通の幸せを見つけた人に、「続けた方がいいよ」とも言えませんでした。

だから、ここに書いているんですね。ボロボロになりながらも仕事をしている、別の誰かに届くことを願って。

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「クーリ」の謎

その日は「クーリ」に振り回された日でした。「クーリ」・・・、一体それは何なのだ?

最近、店舗の紹介記事を作り、その担当から校正のメールが届きました。メールで届いたファイルを開くと、どうやら店舗の所在地を示す地図に修正が入ったようです。手書きで「ローソン」とかが加えられていました。
map_kuri

念のため、私はその方に電話を入れて確認しました。「お店の近くの交差点にはコンビニがあるんだよ。お客さんにとって目印になるから追記しておいて」ということでした。

さぁ地図の修正作業に入ります。コンビニを加えるだけなので、難しい作業ではありません。
しかし、はたと手が止まってしまいました。
「クーリ」って何だ? 私は聞いたことがないけど、目印になるほどの有名な店なのか?
試しに「クーリ」と入力しGoogle先生に聞いてみましたが、それっぽいお店のサイトは存在しませんでした。

そもそも何語なんだ? どんな意味なんだ? Wikiによれば、「クーリ(Coulis)とは、ピューレして裏漉しした野菜や果物から作られる濃厚なソース。フランス語」とのこと。この意味から推測すると、フレンチのお店なのかもしれない。たしかに飲食店なら、サイトを持っていないところもたくさんあります。もしくは、この地域にしかないマイナーなコンビニなのかも。

そこで、この地域に住んでいる仕事仲間に電話をしてみました。「クーリってお店、知ってます?」 しかし、彼は「いやぁ、聞いたことがないけど」と返答。謎は深まるばかり。

本当は直接、仕事の依頼主に聞けば早いんだけど、なかなか聞きにくいじゃないですか。
「えっ、クーリも知らないで仕事をやっているの?」と思われるかもしれないし・・・。

もう一度、この地域をGoogle Mapで調べることにしました。もうこの日は何度見たかわかりません。たしかに、ローソンはある。対面にはセブンイレブンはあるけど、クーリはない
そのとき、何かが閃きました。どうやらとんでもない思い違いをしていたようです。

「クーリ」ではなく、「7-11」、つまり「セブンイレブン」のことだったんです。それが手書きのクセにより、「クーリ」に見えてしまったというわけでした。

( ̄_ ̄ i) ・・・。略字を使うなら、「セブン」か「セブイレ」でお願いします。

ガイドブックではわからないイタリア旅行の裏ワザ

Firenze2月22日、リナ・エ・ジュンコ・インターナショナルの三浦陽一社長が主催した
第4回イタリア旅行セミナー「ガイドブックではわからないイタリア旅行の裏ワザ」に参加してきました。

歴史ファンなので各国の世界遺産や歴史的建造物を見て周りたいという夢があります。なかでも、イタリアはローマ帝国やルネッサンスが栄えた一大拠点。行ってみたい国のベスト3に入ります。

そんな中、三浦さんが招待してくれたイタリア旅行セミナーに、タイミングが良く参加できました。私にとっての中国も同様ですが、海外には住んでみないとわからないことが山のようにあります。それだけに、イタリア在住歴もあり、現在もイタリアとの仕事をしている三浦さんの話はとてもためになるだろうと思っていました。

そして予想通り、かなり多くのことを教えていただきました。ポイントは・・・
観光面
・史跡見学、博物館巡り、ショッピング、スポーツ観戦、食べ歩き。イタリア旅行には何でもある
・だからこそ、目的をしぼって旅行に出かけないと、どれも中途半端になってしまう
・時間の感覚が日本と違う。交通機関でもレストランでも待ち時間を楽しむ余裕が必要
・Buongiorno!(ボンジョルノ)は魔法の言葉。これ言っておけば、たいてい何とかなる! 

食事面
・ガイドブックに載っていない路地裏の店などが実は絶品
・海鮮料理も多く、日本人好みの料理が多い
・スパゲッティは、あくまでパスタの一ジャンル。実はさまざまなパスタがある。

安全面
・観光地はスリが多いので注意。そのテクニックは凄腕で、注意していてもスラれてしまうほど
・駅前や観光地のように人が集まりやすいところほど、スリがたむろしていて危険
・女性は露出が多い服は着ない方が安全

やはり「餅は餅屋」。その道の専門家から聞く話は何よりためになります。三浦さんはAmazonキンドルで電子書籍『日本人の9割が知らないイタリア旅行の裏ワザ~イタリア旅行の知恵袋』も発売しているので、さらに詳しく知りたい人にはオススメです。

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猫ちゃん、そこ私のメモ帳だから!!

私は人からあまり警戒感を持たれない属性といえます。この属性には良いこともあれば、悪いこともあります。

良いことと言えば、人間関係で大きなトラブルはありません。

一方で悪いこともあります。それは、場合によっては人から舐められてしまうのです
ラオウや大豪院邪鬼のような風貌だったら、舐められることはないのでしょうが、
私の風貌はラーメン大好き「小池さん」に似ています。そりゃ、舐められますよね。

さらに悪いことに、舐めてくるのは人間だけではありません!! 動物まで私を舐めるから困ったものです。この間もちょっとしたことがありました。

最近、茨城県内のとある観光農園に取材に行きました。観光農園というのは、イチゴ狩りやメロン狩りを楽しめる農園で、収穫した果物や野菜はその場で食べたり、持って帰ることができます。私はそこの社長さんにインタビューを始めました。

memo-toru私はインタビューするとき、メモ帳を相手に見えるようにして話を聞き、メモを取るようにしています。メモをしている動作を相手に見せることで安心感を持ってもらう、少しだけですがそんな意味があります。逆に書いていることを隠すと、「何か悪いこと書かれていないだろうか」と疑心暗鬼を生むかもしれないと思い、以前からこのスタイルでやっています。

実はメモを見られて困ることは何もないのです。なぜなら、私の字は速記になるととたんに崩れて読みにくくなります。
だから、何を書いているか、わかりっこないのです。しかし、時々自分でも読めなくなるときがあり、そのときは困りますが・・・。

さて、社長へインタビューを進めていると、その農園で飼っていると思われる猫がトコトコ近づいてきました。そして、私たちが座っているテーブルに飛び乗ってきたのです。ちょっと大柄の猫でしたが、愛嬌がありました。思わず「あら~、かわいいですね~」と言いました。

cat-sleepするとこの猫、なんと私のメモ帳の上にドカッと座り、くつろぎはじめました
優雅にくつろぐ猫。エルガーの「朝の挨拶」が流れてきそうな雰囲気でした。

( ̄_ ̄ i) ・・・。・・・・・・。って、
猫ちゃん、そこ私のメモ帳だから!!

またかっ!!と思いました。そうです。こうした経験は初めてではないから分かります。
こいつらは私を舐めているのです。
ナウシカの周りに集まる動物たちは、ナウシカへの敬意があります。しかし、私の周りに集まる動物たちには敬意がなく、自宅のようにくつろぐから困ったものです

それでも私は、その猫をそのままにして社長との話を再開しました。すでに聞きたいことは抑えてあるので、後はメモを取らなくてもよかったのです。話が終わる頃、猫ちゃんの方から別のところへ出かけていきました。

まぁ嫌われているわけではないので、それでいいか。

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