『万引き老人~「貧困」と「孤独」が支配する絶望老後』(伊東ゆう)

昨日、『グォさんの仮装大賞』という高齢化社会をポジティブに生きる映画について書きました。そこで「高齢化社会もガッツで乗り切ろうぜ!」みたいなことを書いておきながら、今日は絶望のドン底に叩き落すようで誠に恐縮です。別の仕事で必要だったので本書を読みました。こいつぁ、やべぇ本でした。読んでいて鬱になること必至でございます

著者の仕事は「万引きGメン(保安員)」。かつては不良少年によるものが主だった万引きは、今では様変わりし、老人たちの犯行が激増の一途だそうです

「もう、二日も食べてないんだ。悪いけど、これ、食ってもいいか?」(69歳男・元上場会社部長)

かつては普通に勤め、普通に生活していた人ですら、勤め先の倒産、リストラ、離婚、病気など、ふとしたキッカケで誰もが「下流」に陥る可能性がある、そんな時代なのです。自分の親がそうなるかもしれない。自分自身がそうなるかもしれない。では、そうならないようにするためには、どうすればいいのか。そんなことを考えながら読みました。オススメしづらいですが、超高齢社会の現代日本を知るうえでは最適です。

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万引き老人

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聴けば心がリラックスできる「水琴」の音

 
今回紹介する書籍は、「水琴」(みずごと)の音を収録したCDブック。あまり聞き慣れない水琴とは何か。百聞は“一聴”にしかず。付属のCDを聴いてみると、水滴が反射する音が聞こえてくる。不規則な音ではあるが、不思議と心が落ち着く。

水琴とは、水滴が奏でる音階を持たない音色を作りだす音響装置のこと。著者はすでに世の中にある水琴窟(すいきんくつ)の原理を応用して、この装置を作った。水琴窟が生まれたのは江戸時代。庭にある手水鉢(ちょうずばち)で手を洗った後、地面にたまる水を流すため、底に穴を空けた大きな甕(かめ)を地下に埋めた。甕の中にたまった水に水滴が落ちると、囲まれた空間の中で音が「ピチャン」と美しく反響する。その音があまりにも風流だったため、いつしか音を聴くためだけに水琴窟が作られ、日本の庭園文化として発展した

音で人の心を癒す研究をしていた著者はこの水琴窟と出会い、研究を開始。すると、水琴窟の音は脳と体をリラックスさせる「高周波」であることがわかった。高周波は6000ヘルツ以上の音で、川のせせらぎ、木々のさざめぐ音などの「自然音」に多く含まれている。こうした自然音だけを聞いていればストレスはたまりにくいのだが、現代人はむしろモーター音やエンジン音といった「人工音」に囲まれている。人工音のほとんどは低周波で、その単調さゆえに聞き続けていると不快感や圧迫感を覚える。さらにひどくなると耳の鈍化が進行し、早ければ10代から鈍化してしまうという。付属CDには「耳年齢チェック」が収録されているので、ぜひ試してみよう。本来の年齢なら聞こえるべき音がキャッチできない場合は、耳の鈍化が進行している可能性大だ。

そういった人は、付属CDトラック1の「水琴音」を聴くのがオススメ。自然の森にいるような感覚に包まれ、リラックスできるはず。この他にも、メロディを加えた「流水音」(トラック2)、パーカッションの音でヤル気アップの「清水音」(トラック3)、ヒーリングサウンドが眠りを誘う「瞑想(めいそう)音」(トラック4)も収録。本書には、水琴の音を聞き続けた結果、「高周波が聞こえるようになった」「不眠がなおった」「鬱が改善した」という体験談も載っており、その効果が伺える。どこか懐かしい響きのある水琴の音を、生活の中に取り入れてみてはいかがだろうか。

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“バカ者”が変えた黒川温泉

 
黒川温泉(熊本県南小国町)は、日本を代表する温泉のひとつです。こぢんまりとした旅館が20件ほどしかないこの地に、日本はおろかアジア各国からも観光客が押し寄せます。
名物は「洞窟風呂」を代表とする自然味あふれる露天風呂です。

しかし、ここはかつてはゴーストタウンと呼ばれるほど、さびれた温泉街でした。それを変えたのは、たった一人の男でした。
若い頃は周囲から「奇人変人」「バカ」と呼ばれていた後藤哲也氏(1931年生~、現81歳)です。
よく地域や社会を変えるのは、「若者、よそ者、そしてバカ者」と言われます。後藤氏は、まさにその典型的な人物です。

後藤氏は旅館・新明館の3代目でしたが、父を含めた周囲とことごとく対立していました。「古いやり方では、こんなところに客は来ない」と考える彼と、保守的な地元の人々の間には埋めがたい溝があったのです。
そんな後藤氏は24歳のとき、何を思ったのか、裏山にノミ1本で洞窟を掘り始めます。毎日、毎日、黙々と岩壁を掘り続ける彼の姿は、「変人」そのものでした。当然、周囲は「ついに狂ったか」と思います。

しかし、彼には「魅力的な風呂を作れば、客はかならず来る」という、信念がありました。そして、掘り続けること3年半。ついに間口2m、奥行き30mの洞窟を掘ることに成功します。さらに、裏山からたくさんの雑木を運び入れ、自然味あふれる「洞窟風呂」を完成させます。なんとも幻想的な雰囲気ですが、これすべて後藤氏の手掘りです。ちょっとアンビリバボーですね。

その後の黒川温泉のサクセスストーリーは、周知の通り。上記の本を読めばよくわかります。
後藤氏の熱意は、ついに彼をバカにしていた人たちをも動かします。他の旅館経営者たちも、後藤氏に教えを請い、ノウハウを学びます。そして黒川温泉は息を吹き返すのです。

新しいことを始めようとして周囲に理解者がいないときや、孤独で潰れそうなときに本書はバツグンに効きます。ぜひご一読ください。

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黒川温泉のドン後藤哲也の「再生」の法則

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