「石岡のおまつり」(茨城県石岡市)に行ってきました。
正式名称は「常陸國總社宮例大祭」(ひたちのくに そうじゃぐう たいさい)。長くて難しい漢字を使っているので「石岡のおまつり」という通称で呼ぶのが一般的です。関東三大祭りの一つに数えられる歴史と規模を誇っています。
石岡市。今でこそ典型的なローカル都市ですが、7世紀には常陸国の国府が置かれ、次いで国分寺も建立されました。
そうなんです。古代、茨城の中心地は水戸ではなく、なんとこの石岡だったんですね。
このことは茨城県民でも知らない人は多いです。
国府は長らく消失していましたが、70年代に発掘され今では「常陸国府跡」として国の史跡になっています。
さらに、古代では、各国の国府近くにさまざまな神をまとめて祀った総社を設ける習慣がありました。常陸国において、その役割を担ったのが常陸國總社宮というわけです。
さて、どの神社にも例祭はありますが、なぜ関東三大祭りに数えられるほど規模が大きいのか? 何がそんなにスゴいのか? それを確かめるため、行ってきました石岡市に。
2013年9月15日、石岡市に下り立った私でしたが、なんと台風がえらいスピードで接近中でした。そのため、もうほとんど嵐と言える横殴りの雨が、朝から吹き荒れていました。駅前にいた観光協会の人に、「さすがに今日は中止っすかねぇ?」と聞くと、「う~ん、本部はまだ中止と判断していないようなので・・・」と、彼らも状況の判断に困っている様子でした。
しょうがないので、お目当ての奉納相撲を見に、常陸國總社宮へレッツラゴー。
嵐のため、町には人っ子一人いません。山車もわずかですが出ていましたが、雨合羽仕様です。ホンマに今日、お祭りやるんかいな?
と不安の中、總社宮へ到着。おぉ、お相撲さんたちがいる!! 奉納相撲やるのか!?
ところで、奉納相撲とは何かといいますと、古代では神事に相撲が欠かせないことは聞いたことがあると思います。神様の前で相撲を取ることで、豊作や無病息災を祈ったわけですね。
この「石岡のおまつり」でも、1700年代から奉納相撲をやり続けてきたんです。
かつては、大人の力士でしたが、今は高校生力士がその大役を担います。実はこの奉納相撲は、茨城県高校相撲選手権でもあるのです。スゴくないですか? 相撲の県大会がイコール神様への奉納相撲になっているんです。ここで相撲を取れる選手は、幸せ者だと思います。
しかし、開始時間になっても、始まる様子がありません。無理もありません。なにせ台風です。嵐です。そして、アナウンスが流れます。「選手たちのケガなどを考慮し、今年は神事のみ行い、相撲はとらないことになりました」と。観光客としては残念ですが、至極当然の判断だと思います。
それにしても、今日のお祭りはどうなるんだ? と関係者も観光客も不安の中、昼頃から奇跡的に晴れました。このまま晴れが続いてくれ~。
願いが通じたのか晴れは続き、人がわらわらと町にあふれだし、そのうち押すな押すなの混雑に。そして午後3時、昼のクライマックスである幌獅子のパレードが始まりました。
この幌獅子、簡単に言うと獅子舞なんですが、頭の重さが24kgもあります。あれで舞うのは相当に大変なのですが、それだけに迫力があります。そして、布の幌で覆われた体の部分には、楽器隊が乗っており、大太鼓・小太鼓・笛・鉦(しょう)で演奏しています。そんな幌獅子が大行列をつくって、町を練り歩くのです。その数はなんと30台以上。すごい迫力でした!!
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